2022年6月、思い立って教育情報化コーディネーター(ITCE)を受験してきました。
結果は不合格でしたが、受けてみて良かったと思いました。ですが、二度と受験しないと思います。
ここでは
- ITCE受験をしようと思った理由
- 試験の方法と内容
- 私のやった勉強方法と内容
- 二度と受験しない理由
について書いていきたいと思います。
(試験内容についてはあまりに公開すると某機関に抹殺されるかもしれないので、個人的な所感を述べるに留めています。)
教育情報化コーディネーター(ITCE)とは
名前に「教育」とあることから、学校教育関連の職種だろうとお察しの方もいらっしゃるかと思います。その通りです。
ざっくり調べたところ、学校などの教育機関の教育の情報化や、情報教育の推進、諸々で現れる情報関連の課題の支援や改善をする職種です。学校単位ではなくその上、教育委員会側の立場になるようです。
似たものとしてICT支援員がありますが、こちらは学校に直接赴き、現場でサポートをする職種のようです。カスタマーサポートみたいなものだと思っています。4校にICT支援員1人の配置になっているのではないでしょうか。4社のカスタマーサポートを1人でさばくのはめまいがしますね…
これに対して、ITCEは計画を策定したり、支援方法を考える職種で、現場サポートよりは一歩離れた立場のようです。現場に向かうのは部下、それを監督する上司みたいなものでしょうか(※あくまでイメージです)。
受験しようと思った理由
子どもも小学校に上がり、小学校と縁ができました。これから情報の授業も強化されていく中、学校はどんな考え方を持っているのか試験から少し覗けるかなと思い、受験を決めました。
この他、「パソコンでやるマーク式試験を受けてみたかった」、「試験からしばらく離れていたので肩慣らしでやってみたかった」という理由もあります。
受験者(私)の状況
この試験は本来教育機関にお勤めの先生方や、その業者の方が受験することが多いらしいです。
私はPHPを得意とするプログラマー、システムエンジニア。設計から開発、運用までやりますが(サイト運営など)、教育機関とは無関係です。基本情報くらいの基礎はあるものの、忘れている部分もあって特別試験に有利とはならなかったように思います。
インフラ系カスタマーサポートを現場で行っていたことがある夫に「こういう事例の問題があるのだけれど、実際現場ではどうなるの?」と机上ではなかなかわからないところを聞いて理解できたのがよかったです。
ICT支援員にしなかった理由
似たものとしてICT支援員もあるのになんでこちらにしなかったのか、というと試験内容にあります。
ICT支援員試験は二次試験に進んだ場合、「動画提出」があります。これが面倒で避けました。
一次のCBT試験に合格しなければ二次試験に進めないのですが、万一を考えると面倒だったので…。
内容としては「〇〇のお問い合わせがあった。電話を折り返したが留守電になるようだ。初動として正しいと思われる解答を動画で提出せよ」など。実際の受け答えをみるために動画提出するようですね。
試験の方法
試験センターに行き、パソコンで解答を選択します。記述式はありません。
1問3分程度で解答します。制限時間が過ぎると自動的に次の問題になります。
このため、良くある試験対策の「できる問題からやっていく」ことはできませんし、時間が余ったから前の問題に戻って解答の見直しをすることもできません。独特ですね。なぜこんな仕様なのでしょう…
せっかくのCBT試験なのに、合否には機関の判定が必要らしく、試験終了後に合否は発表されません。正答者の人数によって問題の点数を変えたり、点数以外に加味するポイントでもあるのでしょうか。もし教育機関の人間、または教育に関係している職業であることが合格の条件だとしたら私は絶対に合格できませんね(知らないけど)。
同時に受験する人と出題される試験問題の順番とその選択肢の順番は全く違うらしいです。カンニングでもしたら真相がわかると思いますが、その瞬間失格になるので「本当に違う試験問題なのか」の確認は不可能ですね。
試験の内容など
さて気になる試験の内容ですが、実はあまり書くことができません。というのも、試験実施機関の態度が「絶対に試験問題を漏洩するな、それをしたらタダじゃおかないよ」だからです。
とはいえ、勉強した所感を述べることは自由でしょう。2022年度に受けたものとして少しだけ残しておきます。なにせ情報が少ない試験ですから…
よくある試験は対策本が売られているものですが、この試験に関しては実施機関が上記の態度のため、市販の試験対策本は全くありません。
ただし、過去問は機関から購入できます。申し込み後、指定の口座にお金を振り込み、入金確認後にPDFで送られてきます。送られてくるまでに数日がかかるので、早めに申し込みをしておくといいと思います。理由はお察しください。
機関から過去問を5年程度購入してこれをやり、問題傾向をつかんだ上で知らなかったことをつぶしていく方法で行けると思います。その他の試験と同じですね。
ただし全く同じ問題は出ないとされています(どれとは言いませんが、似たような問題が出ました)。
ただし、機関から購入した解説を読むだけでは全く足りない上に間違っていることも多いので、都度自分で調べた方が良いです。問題そのものが間違っていることもあります。
技術系区分は「ITカスタマーサポート、特にインフラ周りをやっている人が有利」だと思いました。
機器の写真をみてこれのどこに問題があるか、選択肢の中から正解を選ぶなどは現場でやっている人がみればわかると思います。
対策としては基本情報技術者のインフラ周りを読んだり実践した方が良いのではないかと思います。聞けるなら現場経験者に「こういう問題があったけど、実際の現場で遭遇したことある?」と聞いておくと非常に勉強になります。
またカスタマーサポートや現場をやっていない職業の方は、黒音こなみさんのITサポート本はとても参考になります。これを読んでおくと現場で起こる悩みが想像しやすくなります(直接の試験対策になるわけではありません)。
あと時代はGIGAスクールで各学校に端末配布からのWi-Fi設置なので、Wi-Fiのバージョンと機能の知識を必要とする問題がありました。Wi-Fi6は〇〇で、5GHz帯を使えるのはどのバージョンか、など。
現場でありそうな問題としては、中古品のケーブルを買ってきて割と新しい機材と接続するとどうなるか、使えるのか問題、など(正直そんなもの現場で試して実際を確認すればいいじゃないと思うタイプです)。
これはちょっと謎なのですが、Excel関数式が正しいものを選ぶ問題が出ていることが…なぜ?Office試験ではないよ?
そして教育関連分野ですが、最近のトレンドを掴んでおく必要があるかなと思います。このときのトレンドは著作権絡みでした。この場合は著作料金がかかるか、かからないか、どの条件が必要か、など。
著作権絡みで、学校にもサブスクがあるんですよ。すごいですね。現場は楽になっていると良いなと願います。「授業目的公衆送信補償金制度」と言います。
あと総務省がインターネットトラブルから守るために、e-ネットキャラバンというものをやっています。これも勉強して知ったことですね。
わからない言葉などの調べ方は、ほとんどがインターネット検索で調べました。調べた内容を要約してノートに書いていました。書くことで頭に入る、見直してどの辺りがポイントなのかざっと掴むことができます。
試験問題自体、時の流れで変わらない知識よりも最新の知識を求めている試験のように思えたので、内容を調べるのはインターネット検索の方が優れているように思います。
「その態度は改善してほしい」と思った問題
10年前後前の問題だったと思いますが、「学校でIT職の現場の様子を伝える講義を外部の人を招いて行いたい。どうしたらいいか」みたいな問題で、正答の一つに「保護者にボランティアでやってもらう」がありました。
そ の 態 度 は マ ジ で 改 め て く だ さ い
講義やるならそれなりの準備をしますよね。全部ボランティアでやらせるってどういうことですか?業者にはちゃんと対価払うのに?試験問題相手にふざけんな!って思いました。
10年前後前の話なので今はないと思いたい。…無理かな。
今後IT授業で保護者のボランティア募集が出てきそうですが、ボランティアではやりたくないです。だって行き当たりばったりで適当に話すわけにはいかないでしょう。準備にどれだけ時間かかると思ってるんですか。
「知っている意味がない」と思った問題
〇年△月時点でのオンラインツールの仕様を正確に答えられて何になりますか?そんなものは経営判断と気分で(?)まるっと変わります。
△月時点ではA機能が無料で使えていたものが、試験をする月には有料になっている、などはよくあることです。
問題に△月時点で、と書いてあるからA機能について問われた場合は「無料」が正解なのですが、現状を知っている人は「有料」と答えてしまうでしょう。過去の仕様を知っている意味は何かあるのでしょうか?
二度と受験しない理由
冒頭に「二度と受験しない」としていた理由です。
第一に、問題が非常に気に食わないのです(笑)
そもそも問題と解答がグレーのものが多い印象を受けます。さらにそれを知っていてどうするの?都度調べれば事足りるのでは?という問題もそれなりにあります。
漢字検定、TOEIC、英検、基本情報技術者、大学入学試験などの過去に受験した試験と比べると、これらの試験はよそから突っ込みどころがほぼないように、正解と不正解が割れそうな問題はそもそも出さないように練られていると実感しました。
たまに問題不備で全員正解にします、設問をなかったことにしますなどありますが、そんなものは1回の試験で1問あるかどうか程度ですよね。
特に技術系分野については「IPAの問題って良問だらけだったのね、受験者に優しい、好き!(?)」と思ったくらいです。
第二に、この資格を持っていなくても別に困らないことです。今の仕事で特別困っていません。この資格があるからどうこうできる、というものでもありません。
その他、今回の試験の目的となっていた「パソコンでやるマーク式試験を受けてみたかった」、「試験からしばらく離れていたので肩慣らしでやってみたかった」、この2つは達成できましたし、もう一度受験しなくても何も問題はないかな、と思いました。
まとめ
教育情報化コーディネーター試験について書いてきました。
結果は不合格、もう一度受験することもありませんが、ここで頑張って勉強したことで知らなかった学校の世界、考え方を少し知ることができて良かったと思っています。
教育現場に関わる人や、業者の方は頑張ってください。応援しています。
次に試験勉強する気になったら、おとなしくIPAの何かを受験してみようかと思います。受験するそのときには、朝早くから行われるために存在する起床試験、会場到達試験も頑張ります。
参考
余談:合否判定の内容
ちなみに、今回受けた試験結果はB判定でした。
[技術]ブロックの得点が50点満点で 25点以上(A+,A,B)
[学習]ブロックの得点が50点満点で 25点以上(A+,A,B)
総得点が100点満点換算で、60点以上であること
を合格の条件としており、あなたのブロック別評価は、
[技術]ブロック:B
[学習]ブロック:B
総合得点は、55~59点 の範囲でした。
各ブロック別の評価は以下のとおりです。
A+:大変よくできています。
A :よくできています。
B :上級を狙うにはより努力が必要です。
B-:もう少しの努力でBラインに達します。
C :大きな努力が必要です。頑張りましょう。
D :基本的なところからの勉強が必要です。頑張りましょう。
2022年6月 教育情報化コーディネーター試験結果のメールより
今一歩及ばず、といったところだったのでしょうか?